シャッター商店街 目指せ!ディズニーランド®化

シャッター商店街が増え始め、もはやニュースでも取り上げられなくなるほど、あたりまえの光景になってしまった。自分の住んでいる町にもたくさんの商店街があるが、一部はシャッター商店街となりつつあるところもある。こんな方法で改善できないものだろうか。

記事掲載日:2017.08.19(この記事は 2019.06.15に修正されました)

「この辺りも閉まっている店、増えましたね」
得意先への帰り道、梅宮は定吉といつもとは別のルートで会社に戻っていた。
「僕の実家の方でも、5つか6つくらい商店街があったんですけどね。もう1つか2つくらいしか、商店街としては機能してないですよ。」
定吉の言葉に耳を傾けながら、梅宮は閑散とした商店街を歩いていた。距離にして70~80mほどあるだろうか。すべての店の開いていた時は、さぞかし活気があったのだろう。梅宮はシャッターの降りている店をしみじみと眺めた。
「こういう商店街を見るといつも思うんですよ。」
定吉の話に熱がこもってきた。
「町全体をディズニーランド®のようなテーマパークみたいにできないだろうかって」
梅宮が無言で話を促す。
「たとえば、テーマ―カラーですよ。この商店街はオレンジ色に統一。こっちはブルー、こっちは黄緑色というように、壁や屋根を同じ色にして統一感を出す。素材までそろえるとなると、壊したりしないといけないですけど、色くらいならなんとかなるんじゃないかって思うんですよ。まぁ、何の店なのかということが大事なんだろうとは思いますけど、まずは外観から。街並みがそろっていたら歩いているだけでも楽しいと思うんですよね。店舗のお休みの時はシャッターが閉まっているから、シャッターも統一して絵を描くとか。夜全部しまっているときにひとつの絵になっていたら面白いと思いません? 今なら絶対、インスタ映えとかで人が来ますよ」
「景観をそろえる費用は、誰が払うんだ?」
梅宮が現実に戻し、定吉が荒い息を吐く。
「そこが問題なんですよね。お金を払うならうちはいいよ。という店が絶対出てきますからね。でも一店舗でも反対したら景観がそろわなくなってしまうし、それでは意味がありません。助成金でどうにかしてほしいところではありますが、すべての商店街となるとかなり経費がかかりそうですからね。あとはクラウドファンディングとかですかね。今の時代なら、一致団結さえすればなんとかなりそうな気がするんですけど」
「一致団結な」
それが一番難しいだろうなと梅宮は心の中で思った。定吉があまりにも一生懸命なので、これ以上水を差すのもなんだかかわいそうな気がしたのだ。
「壁や屋根だけでなく、そのうち別のところもテーマでそろえていけたらいいですよね。たとえばお店の制服とか、雰囲気とか」
「商店街をステップしながら掃除しているとかな」
梅宮の言葉に定吉が目を輝かせる。
「いいですね! さすがにエレクトリカルパレードとかは無理だろうけど、ちょっとしたショートとか、クリスマスの電飾とかならできるかもしれませんね」
「金がかかるな」
梅宮の言葉に定吉が肩をすくめる。
「人がたくさん来るようになれば、町も商店街も万々歳じゃないですか。そうなればシャッター商店街なんてなくなるかもしれないのに」
商店街も終わり、梅宮と定吉は電車に乗った。

あとがき
5、6年前だろうか。地元のとある商店街を歩いていて昼間だというのに、シャッターが下りている店がいくつもあった。そのせいもあるのだろう、一通りはかなり少なかった。そのとき、閉まっているシャッターに一連の絵を描いたら、その絵を見に人が来るのではないかと思った。人がくれば頑張ってシャッターを開けている店にも、足を運ぶ人が増えるかもしれない。

そんなことを考えていた時、ディズニーランド®に行く機会があった。そのとき商店街をディズニーランド®のようなテーマパークぽくしたら、面白いのではないかと思った。特定の商店街だけでなく、町すべての商店街をディズニーランド®化するのだ。

そうすればこの商店街のこの店にしか用がない、という人も、あっちも見に行ってみようかという気になるかもしれない。商店街なのだから商売がメインではある。だが、歩いているだけで楽しい商店街があったら、わざわざその町に来るようになるのではないだろうか。(実際、ディズニーランド®は乗り物に乗るだけが楽しいのではなく、あの全体の雰囲気が楽しい)。

かかる費用は莫大なんだろうけど。
どこかの町で実現してくれたら、嬉しいなぁ。

松江ブログ(M2エムツー)

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