1.重篤な糖尿病

それは家族が半年に一度、集まる日のことだった。
いつものように団欒を終えて、それぞれが帰路につき、私自身、寝る準備をしていた時、家のインターホンが勢いよく鳴り、「誰だろう?」と思う間もなく、慌てた声が飛び込んできた。
「お母さんが、事故にあいました!」
一瞬、何のことかわからなかった。続けざまに声が聞こえる。
「お母さんが、事故にあいました!」

記事掲載日:2019.07.15

新手の詐欺だろうか?

状況が理解できないまま扉を開けると、そこには60過ぎぐらいのおじさんと、その向こうに若い女の人が立っている。
再び、おじさんがいう。
「お母さんが、そこの十字路で事故にあいました!」
「はい?」
すぐには状況が呑み込めない。
「ひどいですか?」
おじさんの返事がない。再び私は聞いた。
「ひどいですか?」
私の言葉におじさんが一瞬間をおいてこたえた。
「意識ははっきりしています」
おじさんの言葉に、意識はある程度の事故だと認識し、頭が動き始めた。
「すぐに行きます」
すでにパジャマだった私は、服に着替えて、鍵だけを閉めて家を出た。

1分ほどの十字路で母が横たわっている。
誰か知らない男の人が膝を貸してくれていた。
走って私が近づいてきたことに気がつき、すぐに男が近づいてきた。何やら、誤っており「警察と救急車を呼びましたので」と言っている。
状況から、母を引いたのはこの男だとわかった。
母親に近づくと、意識ははっきりしているが動けない様子だった。
周りの話から状況はなんとなくわかったが、どうにもできない。とにかく、救急車で病院に運ばれるのだと思い、その場をいったん離れ、家に必要なものを取りに行った。気持ちが焦っており保険証が見つからない。時間がない。とりあえず、財布と上着、スマートフォンなどを持って、母親の元に戻ったとき、救急車と警察が到着していた。

救急車は行き先を探しており、止まっている救急車の中で、警察官に連絡先などを聞かれた。
すでに23時30分を過ぎている。近くの病院に専門医が当直していないということで、少し離れた病院にいくことになった。ストレッチャーに横になった母を見たとき、はじめて気がついた。

母の左足は、皮を突き破らんとするかのように膝の上に飛び出していた。完全に折れている。
そのとき、はじめて交通事故にあったのだと理解した。

私は救急隊員に断り、母が交通事故にあったことを家族に電話で伝えた。その驚きは大きい。それも当然だ。ほんの数時間前に笑顔で別れたばかりだった。今すぐに駆けつけても仕方がないので、病院に到着し、何かしらわかった時点で連絡するということとなった。電話が終わる頃には救急車は発進し、●●病院に向かいますと救急隊が私に告げた。

病院に到着すると、すぐに検査に入った。
待合室で、病院についたことを家族に伝える。しばらくすると、医師(だろうと思う)が近づいてきた。
「カリウムが足りません。最近、食事ができないとか、栄養失調になるようなことはありませんでしたか?」
ありえない。心の中で思った。
「食事はとっています。私より食べているので、それはないと思いますが、かなり偏った食事かもしれません」
聞かれるままにいくつか質問に答えると、点滴しますと告げて、医師が去り、私はまた待合室で一人待った。気がつくと、時計を見るとすでに1時を回っていた。

「簡単な処置ができましたので、こちらへ」
そういわれたときは3時近かったように思う。
母の足は、金具につられ、固定されていた。
医師がレントゲン写真をみせる。
瞬間、足が震えて、うまく立っていられなかった。
骨は完全に分断され、ひどい方向へ曲がっている。
「左大腿骨、一番太い骨を骨折しています。詳しくは、もっときちんと検査してみないとわかりませんが、早めに手術をした方が良い状態です。ただ、この病院の手術が一週間先まで予定が入っていて、すぐに手術ができません。おそらく、転院していただくことになるかと思います。」
医師が言ったのは、そんな内容だったと思う。

すぐに転院するかもしれないとはゆえ、その日は救急搬送されたその病院へ入院することとなった。
付き添いもできないということなので、私はいったん家に戻り、翌朝(といってもすでに朝だった)、説明を受けるため、再び病院に来ることになった。帰り際に、母に痛みはないかと聞いたが、固定していることや痛み止めが効いていることもあり、痛みはないということだった。私は「朝、また来るから」と告げ、夜中のタクシーに乗った。

家に着いたときは4時を過ぎていたが、家族にメール入れた。そして、朝もバタバタするだろうと思い、会社へメールで連絡を入れた。5時頃布団に入り、7時過ぎには起きて、家族と合流して再び病院に向かった。

医師の診断

お母さんは重篤な糖尿病です。数値が11.6(このとき何の数値かわからなかったが、そう言っていたと記憶している)。このままだと手術ができないかもしれません。手術できない場合、車椅子、寝たきりになる可能性もあります。

医師の説明にすべてが止まった。まさに青天の霹靂だった。

注意

この日記の内容を実行したとしても、よくなるという保証はなく、個人の症状によっては悪化する可能性もあります。あくまでもこんな風にやっているんだ、という程度のものです。この日記の内容、または内容をアレンジして、病状が改善されない、悪化したという症状がでたとしても、当サイトでは一切責任を負いません。必ず、専門家(医師・管理栄養士)などの指示の元、自己の判断・責任において、治療等行ってください。

驚

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