MATSUTE BLOG松江ブログ（M2エムツー）

記事掲載日：2016.08.18（この記事は 2019.07.28に修正されました）

「田沢くん、この段ボールに宛名書いておいてくれる」

三澤部長に頼まれ、京子は顔をしかめた。

「郵送用の用紙ないんですか？」

段ボールに直書きでは、失敗が許されない。　

「ちょうど切れていてね。大丈夫、直書きでも問題ないから」

京子は渡された住所と名前のメモ書きをみて、ため息をついた。今まで書いたことのない住所だ。不安は失敗のものと。京子は気を取り直して、マジックを握った。

「あっ」

思わず声が出た。

「何、どうしたの？」

近くにいた同期の増田が声をかける。京子は無言で眉を寄せた顔を向けた。増田が鼻で笑う。

「間違っちゃったんだ。×をつけるとか、塗りつぶしておけば大丈夫でしょ」

それが嫌なのだ。

京子は顔をしかめて段ボールを見つめた。

仕方がない。

京子はうんざりしたようにカッターを取りだすと、段ボールを薄く削り始めた。修正液が登場する前、年賀状を書き損じた時などよくやった。見た目は悪いが、いたしかたない。

「最悪」

京子は出来上がった段ボールの宛名を見て、うんざりした。

「あれ、結局、削ったんだ。だったら、修正テープ使えばよかったのに」

「真っ白だと間違ったのがよけいに目立つから」

京子の言葉に、増田がダウンボールを見下ろす。

「どっちもかわならいと思うけど」

京子は去りゆく増田をしかめっ面で見送った。

修正液・修正テープの今

間違ってはいけない、という時に限って間違えたりするもので、封筒など買い直すことができるものもあるが、代用が効かないときこともある。そんなとき役に立つのが修正グッズだ。今回ちょっと調べてみて、時代と共に修正液も修正テープも進化していたことに気がつかなかった。

修正液〈油性・水性インキ両用〉

子どもの頃、はじめて修正液を手にしたとき、嬉しかった。それまで年賀状を書き間違えると、カッターなどで薄くハガキを削るという対処を強いられていた。間違ってもハガキ・ダメにしなくてすむんだ。この感動は忘れません。今回、はじめて気がついたのです商品名が「修正液」だったんだ。

出展　PenteL

ライオン事務器 修正液 ミスノン

液体タイプでハケタイプとは知らなかった。しかも、修正した個所を消ゴムで消せるって発想が面白い。でも確かに、修正液で消した後に同じ内容を描き直したことがある。ハケだと円形とかいろんな形に合わせ修正ができそう。

出展　LION

ケシピコロング

修正テープが出た頃、今みたいにおしゃれな形や多機能型ではなかったけど、使ってみて「おお」と思った記憶がある。修正液だったころ使わない間に入口が固まって出なくなったり（これ私の使い方の問題です）、ムラになったりしていたけど、スムーズに消せるようになって嬉しかった。

出展　KOKUYO

WHIPER/ホワイパースライド 裏から見えない修正テープ

何と間違えて消したのかばれたくないとき確かにあるな。今は個人情報にも厳しい時代。何かと役に立ちそう。押して一文字、引いて好きなだけ消せるのもいい。

出展　PLUS

その他にもペンタイプのものや、縦、横、円など自由自在なタイプ、持ち運びタイプの小さなものなど、いろいろな形のものがでいた。形だけではない。気がつけば、修正テープの外見の色もカラフルになっている。私のイメージは「青」だ。当初はブルー系が多かったな。白もあった気がする。

しかしなぜ、外見や機能性が変化しても、使える色の基本は「白」なのだろう。便箋だってノートだって、いつも真っ白とは限らないのに修正液や修正テープは、決まって白だ。カメレオンの擬態のように、紙の色に擬色すれば、茶封筒だろうと段ボールであろうと使えるのではないか。そう思って十数年、消せるボールペンの登場がした。ペンで書いた文字を消す技術が発達してしまったのだ。もう私の望むカメレオン式擬色修正テープ（修正液）は登場しないかもしれない。

消せる油性マジック。紙に書いても消せるよ。という商品が出るか。どんな色の紙にも対応する修正テープ（修正液）が出るか。あらたな商品を心待ちにしている。どこかのメーカーさん、開発してくれませんかね。