今、連載中の漫画で「面白い」と思う作品(1)「秘密 TOP SECRET」

読んですっきりしたいという人にはお勧めできない。
読み終わったあとモヤモヤっとして、どこか苦しくなるような、やるせないような話が好きな人には、おすすめの漫画。

記事掲載日:2017.01.10(この記事は 2019.06.15に修正されました)

秘密 トップシークレット

秘密 トップシークレット 清水玲子氏(白水社)

2016年8月に映画版が公開されたので知っている人もいるかもしれない。
原作の漫画を読んだことがない人もいるかもしれないので、一言。
映画を観た感想は「別物」。漫画の土台部分のみを借りた全く別の世界だった。面白い、面白くないではなく「別物」。そこをクローズアップしたんだ。というのが正直な感想。

原作では、映画のような脳の装置も未来感もない。もっとも映画で「脳を見る」を表現するには、どうしても未来的な映像を作り出さなければダメだったのかもしれないが、私的には未来的な要素よりも、話の中身に焦点を当ててほしかった。そもそも1話から回を重ねるにつれて、人間関係や物語が絡み合っていくので、2時間程度の尺に納めるのは無理があったのかもしれない。

映画の話はさておき、清水玲子氏の作品はいつも、どこかに儚さややるせなさが残る。
登場人物は人間でないことも多い。ロボットや犬人間(言い方が思いつかなかった)、クローンなど。いつの時代もほんの少し先の世界がテーマになっている。

本作「秘密」の主人公は人間。

亡くなった人間の脳を解析する部署の物語。テレビドラマ「科捜研の女」の「脳版」というとイメージしやすいかも。今は「まさか」という操作方法だが、数十年後にはもしかしたら可能になってしまうかもしれない。

個人が墓場まで持って行こうと隠していた、脳の中だけにあった秘密が、秘密でなくなる時代の到来だ。

漫画の中では科学警察研究所 法医第九研究室に勤務するメンバーが、亡くなった人が守りたかったはずの「秘密」と事件の「真相」の間で苦悶している。果たして暴くべきだったのか、それとも秘密のままにしておくべきだったのか。真相を明らかにするために、個人の「秘密」を明らかにしてしまってよいのか。また、その明らかになる秘密が悲しいくらい切ないことがあり、やるせなくなる。

因みに、主人公「薪 剛」は超人的。

頭の良さはテレビドラマ「相棒」の杉下右京の上を行くかもしれない。少しできすぎているほどの頭脳の持ち主だが、心の闇と弱さを持った人間でもある。信念は人を強くする。後悔は人を突き動かす。弱い自分と戦い、誰も傷つけまいと必死にもがき、周りと距離を置きながら守ろうとしている。哀しい人でもある。

ほぼ、1冊の中で話が完結していることが多いので、一気に読まなきゃということではないので、まずは一巻でお試しできる。

本当は買って読んでほしいけど、お試し版もあったのでご紹介。
引用:白水社「秘密 TOP SECRET

清水玲子氏の漫画は、切ない話が多いけど。この作品を読んで面白かった!という人は時代をさかのぼりながら読んで言ってもよい面白いかも。かぐや姫や月の子の設定も面白いし、竜の眠る星にいたっては主人公ロボット。かなり古い作品だけど、今のロボット技術を見ていると、こんな世界が来るのも近いかもと思ってしまう。

松江ブログ(M2エムツー)

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